はじめに
- Shopify Editions Fall '26のうち、アプリ開発者に関係するものだけを詳しく知りたい
- 期限のある対応があるのか、いつまでに何をすればいいのか知りたい
- App Eventsやテーマ アプリ アドオンが、自分のアプリの売り方にどう効くのか知りたい
このような方のための記事です。
この記事では、2026年10月28日に公開されたEditions Fall '26の開発者向けの発表のうち、公開アプリを作っている人に効くものを、期限のある対応・売り方・店主への見せ方・開発の道具の順に解説します。発表の全体は Editions Fall '26の全発表まとめ をご覧ください。
RYXでは、お気に入り・レビュー・会員限定・予約・定期購入・ポイントのShopifyアプリを6本作っています。自分のアプリに当てはめるとどうなるかも書いていきます。
期限のある対応が3つ
Editionsは新機能の発表会ですが、開発者向けのページには期限のある対応が3つ混ざっています。新機能より先にこちらを確かめてください。

スクリプトタグは2027年3月1日に店頭で動かなくなる
Editionsのページに「アプリはスクリプトタグを作ったり更新したりできなくなった」と書かれています。これは8月に出ていた廃止の予定のとおりで、2026年10月1日から作成と更新がエラーになり、2027年3月1日には店頭でもスクリプトタグが読み込まれなくなります。古いAPIの版を指定していても逃げられません。
移行先は、テーマアプリ拡張かWeb Pixelです。店頭に部品を出すならテーマアプリ拡張のアプリブロックかアプリ埋め込み、計測だけならWeb Pixelです。既存のスクリプトタグは、一覧の取得と削除だけは今も使えるので、自分のアプリが入れた分を棚卸しして消しておきます。
期限付きトークンは2027年1月1日まで
公開アプリが店のデータを読み書きするトークンを、期限の無いものから期限付きのものへ移す期限が2027年1月1日です。間に合わないとApp Storeの掲載から外れ、新しいインストールができなくなり、4月1日にはAPIが拒否されます。Editionsのページでは、トークンを自分で取り直す仕組み「client credentials」も紹介されています。
手順と確かめ方は 期限付きトークンの記事 に書いています。RYXの6本は確認済みで、すべて期限付きで動いています。
アプリ名は他と区別できる名前に
App Storeの要件4.1.2として、アプリ名は固有で見分けのつく名前にすることが求められました。Shopifyは対象のアプリを順に確認し、直す必要があるアプリには期間を決めて連絡するとしています。期限はまだ示されていません。
「Wishlist」「Reviews」のような一般名詞だけの名前は、先頭に自社のブランド名を付ける形が推奨されています。RYXのアプリは「RYX Wishlist」「RYX Review」のように最初から社名を頭に付けているので、そのままで足ります。これから出すアプリは、提出前にApp Storeで同じ名前が無いかを検索してください。


売り方が変わる発表
料金プランに「この機能が使える店だけ」の条件を付けられる
Shopify App Pricingの公開プランに、店の条件を付けられるようになりました。選べる条件は2つです。
- チェックアウトのすべてのページでアプリのカスタマイズとブランディングが使える店。実質的にShopify Plusの店です
- B2Bのお客様にカタログを直接割り当てられる店
条件を満たさない店では、プラン選択のページで選ぶボタンが押せなくなり、足りない機能の名前が表示されます。課金の承認の画面でももう一度確かめられます。

これで、「Plusでないと動かない機能」を上位プランに入れていたアプリが、Plus以外の店に誤って売ってしまう事故を防げます。チェックアウトの拡張を上位プランに入れているアプリは、設定しておくと返金や問い合わせが減ります。
注意点が3つあります。
- 使えるのはShopify App Pricingの公開プランだけです。非公開のプランや、Billing APIで作る課金には付けられません
- 今課金している店には効きません。解約したあとに戻るときに条件が確かめられます
- App Storeにログインしていない人には、条件に関係なくすべての公開プランが見えます
App Storeの値段が円の目安でも出るように
ドル以外の通貨で請求される店には、App Storeと管理画面でアプリの値段が現地の通貨の目安で出るようになりました。対象の14通貨に日本円が入っています。日本の店には「$4.99」ではなく円の目安が、為替レートの注記と一緒に表示されます。
RYX GateのApp Storeのページを開くと、ドルで値段を決めているスタータープランが「948¥ JPY/月」と表示されていました。料金の欄の上には「JPYでの価格は、現在の為替レートに基づく見積もりです」という注記が付きます。
開発者の対応は要りません。値段はこれまでどおりドルで決め、受け取る額も変わりません。目安が出るのは、掲載のページとアプリのカード、プラン選択のページ、課金の承認の画面、管理画面の請求の詳細です。
ただし、アプリの中の料金の説明や、ヘルプに載せたスクリーンショットはドルのままです。日本の店主から見ると、App Storeでは円、アプリの中ではドルと表記がずれるので、ヘルプの料金の画像は差し替えを考えておくとよいです。
テーマにアプリを付けて売れる「テーマ アプリ アドオン」
テーマストアにテーマを出している開発者が、自分のアプリをテーマの掲載に付けられるようになりました。店主はテーマを入れる流れの中で、アプリも一緒に入れられます。

決まりは次のとおりです。
- アプリはApp Storeで公開済みであること。一覧に出さない非掲載のアプリでもよい
- テーマを出している組織と、アプリを持つ組織が同じであること
- 1つのテーマに付けられるアプリは1つ。同じアプリを複数のテーマに付けるのは自由
- アドオンを作るテーマ開発者は、アプリの審査の順番が優先される
公式が例に挙げているのは、商品のカスタマイズ、定期購入、絞り込みと検索、お気に入りです。テーマの機能を全部テーマのコードに入れるのではなく、課金できるアプリとして切り出せるようになりました。RYXはテーマストア向けのテーマも作っているので、テーマとお気に入り・レビューのアプリを同じ組織で持っていることがそのまま強みになります。
料金まわりのその他の変更
- 非公開のプランを好きなだけ作り、それぞれに好きなだけ店を割り当てられるように。大口の店ごとに別の値段を付けやすくなります
- 年額のプランに、月ごとの従量課金を組み合わせられるように。近日公開です
- Billing APIで作った課金を、Shopify App Pricingへ移すための道具
- Shopifyに新しい店を紹介した開発者に、すべてのプランで4年間、月額料金とオンラインの売上から報酬が入るように
店主にアプリの成果を見せる仕組み
App Eventsで、アプリの出来事がShopifyの分析画面に出る
一番大きいのがこれです。アプリが送った出来事を、店主がShopifyの分析画面のレポートやShopifyQLで見られるようになりました。メールを送った数、使われたポイント、お気に入りに入った数といった、アプリの成果を店主がいつもの分析画面で確かめられます。

管理画面の分析でレポートの指標を足そうとすると、カテゴリの一番上に「アプリイベント」が入っています。対応したアプリを入れていない開発ストアでは、灰色で選べない状態でした。アプリが出来事を送り始めると、ここから店主が選べるようになります。

使い方は、拡張の設定ファイルで出来事を宣言し、デプロイし、App Events APIで送るだけです。Shopifyが決めた標準の出来事と、自分で決める独自の出来事の両方を使えます。公式の例では、メール配信のアプリが「メールを送った」という標準の出来事を宣言しています。
[[extensions]]
type = "analytics_app_events"
handle = "app-events"
[[extensions.events]]
name = "shopify.marketing.email_sent"
kind = "standard"
宣言を shopify app deploy で出し、App Events APIで出来事を送ると、店主は次のように集計できます。
FROM app_events SHOW emails_sent TIMESERIES day
すでにDev Dashboardのログや課金のためにApp Eventsを送っているアプリも、宣言と合っていなければ分析画面には出ません。送っている出来事を分析にも出したいなら、宣言を足す必要があります。
この仕組みは、App Store用の数字を作るより先に、解約を減らすのに効きます。店主が「このアプリを入れて何が変わったか」をShopifyの画面で見られれば、アプリの価値が伝わり続けます。RYX Wishlistなら「お気に入りに入った数」、RYX Pointsなら「使われたポイント」が、そのまま店主に見せたい数字です。
チェックアウトとお客様アカウントの拡張から、1行で出来事を送れる
2027-01の版から、チェックアウトとお客様アカウントの拡張が、shopify.appEvents.emit() で出来事を送れるようになります。拡張からの通信の許可も、アプリのサーバーも要りません。どのアプリのどの店かはShopifyが付けてくれます。
shopify.appEvents.emit("offer_viewed", {
offer_id: "summer_bundle",
placement: "order_summary",
});
送った出来事は、Dev Dashboardのアプリのログに、WebhookやAPIの呼び出しと同じ一覧で並びます。下はRYX Pointsのログで、今はAPIの呼び出しだけが並んでいます。出来事を送り始めると、ここに混ざって出てきます。

日本の店で使うときに気をつけたい点は次のとおりです。
- 買い物客が分析への同意をするまで、出来事は送られずにページで待ちます。同意しないまま離れると送られません。日本の店でもCookieの同意の画面を出しているなら、その分は数に入りません
- 1つの拡張から、最初に20件、その後は1秒に2件まで送れます
- 出来事の中身に個人情報を入れないこと
- 拡張から送った出来事は課金には使われません。従量課金の数は、これまでどおりサーバーから送ります
分析画面にメモを書き込める
アプリがGraphQL Admin APIで、分析のレポートにメモを書き込めるようになりました。たとえば「セールを開始」「おすすめの並びを変更」といったアプリが行った変更を、売上のグラフの上に残せます。数字が動いた理由を、アプリの変更とつなげて見せられます。
SidekickとShopでのログイン
アプリからSidekickを開いて質問を渡せる
管理画面に埋め込んだアプリから、質問を入れた状態でSidekickを開けるようになりました。たとえばレポートの横に「Sidekickに聞く」ボタンを置き、押すとSidekickが開いて、その質問を店主の発言として送ります。
shopify.sidekick.launch({ message: "このレポートで先月から落ちた商品を教えて" });
Sidekickは、入れているアプリのデータを使って提案するようにもなりました。こちらはSidekickのアプリ拡張を持つアプリだけが対象です。作り方は Sidekickのアプリ拡張の記事 にまとめています。店主がSidekickに頼る時間が長くなるほど、Sidekickから呼ばれないアプリは使われなくなります。開発者のコミュニティでも「Sidekickが勧めるアプリが数本に偏っている」という議論が出ています。
作り直した管理画面の検索にも、下に「Sidekickに質問」と「App Storeで検索」が並んでいます。店主がアプリを探す入口が、App Storeのページから管理画面の中へ寄ってきています。

お気に入りやレビューのアプリに、Shopでのワンタップのログイン
店頭で使うアプリが、Shopでのログインを部品として埋め込めるようになりました。お気に入り・入荷のお知らせ・ポイント・レビューのように、買い物客が誰かを知りたいアプリ向けです。ログインと同意の流れは部品が受け持ち、アプリには範囲を絞ったトークンが渡ります。
この部品には、同じ店の2つ目のアプリでは同意の画面が出ないという特徴があります。「同意は店ごとに1回で、アプリごとではない」とされていて、追加の範囲が要るときだけ聞かれます。
お気に入りのアプリを作ると、ログインしていない人の記録をブラウザに置き、ログインした人の記録を顧客のメタフィールドに置くことになり、この2つをまとめるところで必ず詰まります。RYX Wishlistでも詰まった部分でした。Shopでのログインは、ログインしていない買い物客にも「Shopで続ける」の1タップを出せるので、この悩みを小さくできる可能性があります。ただし公式は、今のログインに足す形で使い、最初の表示でいきなり出さず、断られてもアプリが動くように作ることを勧めています。
開発の道具とDev Dashboard
Dev Dashboardにストアの画面と入金・請求の設定が来た
Dev Dashboardが作り直され、ストアの一覧と、ストアごとの画面ができました。ストアの画面では、自分の組織のアプリのうちそのストアに入っているもの、協力者としてアクセスできるスタッフ、そのストアからの収益が1か所で見られます。
入金・請求・事業者の情報の設定も、Partner Dashboardから、Dev Dashboardの組織の設定へ移りました。今の設定はそのまま引き継がれます。近日、App Storeの掲載の提出や料金の設定、アプリの広告もDev Dashboardからできるようになる予定です。Partner DashboardとDev Dashboardを行き来する手間は、年内にかなり減りそうです。
その他の開発の道具
- Shopify CLIが、AIエージェントから操作しやすい形になりました。開発ストアの作成・一覧・削除もCLIだけでできます
- 本番のアプリのログを、Shopify CLIから調べられるようになります。近日公開です
- PythonとPHPでアプリを作るための公式のパッケージが出ました
- Polarisに14の新しい部品が加わり、CDNで版を固定できるようになりました。Polaris 2.0への移り方は Polaris 2.0の移行の記事 に書いています
- POSの拡張で印刷や常駐の処理ができるようになりました
- Functionsが、チェックアウトごとに必要なメタオブジェクトを読めるようになります。近日公開です
安全に関する発表
- AI Toolkitで、1つの指示からアプリの弱点を探し、AIエージェントと一緒に直せるようになりました
- アプリごとに、APIを呼べるIPアドレスを絞れるようになりました。合鍵を盗まれても、決めたサーバー以外からは使えません
- Dev Dashboardに組織の情報を入れると、協力者のアクセスを申し込むときに店側に見えるようになりました
- App Storeのレビューを、Shopifyが自動で確かめるようになりました。書いた店の信頼度や実際の利用と照らし合わせ、怪しいものを外します
App Storeのレビューの確認は、何が起きているのか
Editionsのページには「レビューは店の信頼度・本人確認・アプリの使われ方と照らし合わせて確かめられ、評価が実際に使っている店のものになる」とだけ書かれています。確かめるのはShopifyで、自動で判定して基準を満たさないレビューを非公開にします。開発者や店主が何かを確かめる必要はありません。中身は、Shopifyが7月6日に開発者のコミュニティに出した投稿で分かります。
変わったことは2つです。
- 見返りでレビューを集めると、レビューの大部分が消える。「★5を書いてくれたら無料期間を延ばす」「割引する」といった見返り付きの依頼が見つかったアプリは、レビューのかなりの部分を削除すると明記されました。これまでPartnerの規約の中にあった決まりを、独立した方針として出したものです
- 怪しいレビューの見分けを強め、過去のレビューにもさかのぼる。基準を満たさないレビューは、数週間かけて順に非公開にするとしています
実際に、開発者のコミュニティには「2025年の一斉削除のとき、8年かけて集めた★5のレビュー約100件のうち約30件が1時間で消えた」という声も出ています。Shopifyは、本物のレビューが巻き込まれても開発者のせいとは限らないと書いています。怪しいレビューを書く人は、たくさんのアプリに書いて回ることが多いからです。
開発者がやることは、レビューを頼む方法を見直すことです。Shopifyが勧めているのは、アプリの中のレビューを頼む仕組み(Reviews API)を使い、実際に使ってもらった後に、見返りを付けずに頼むことです。悪いレビューには返信します。
10月にShopifyが全開発者に求めたセキュリティの点検と同じ流れです。点検の中身は アプリのセキュリティ対応の記事、アプリが乗っ取られて偽の決済画面に飛ばされた事件は 偽の決済画面の記事 にまとめています。
アプリ開発者が今やること
- スクリプトタグを使っていないか確かめる。使っていれば2027年3月1日までにテーマアプリ拡張かWeb Pixelへ
- 期限付きトークンへ移っているか確かめる。期限は2027年1月1日
- アプリ名が一般名詞だけになっていないか確かめる
- Plusでしか動かない機能を上位プランに入れているなら、プランに店の条件を付ける
- ヘルプやアプリの中の料金の表示を、円の目安と食い違わないように見直す
- 店主に見せたい成果の数字を決め、App Eventsで分析画面に出すかを考える
1と2は期限のある対応です。3〜6は、急がなくてもアプリは止まりません。
さいごに
Editions Fall '26のアプリ開発者向けの発表は、「店主がShopifyの画面の中でアプリの成果を見て、Sidekick経由で使う」方向に寄っています。App Eventsで成果を分析画面に出し、Sidekickから呼ばれるようにし、料金はShopify App Pricingに寄せる流れです。
その一方で、スクリプトタグと期限付きトークンという期限のある対応も重なっています。新機能を入れる前に、まず期限のある2つを片付けてください。
Shopifyアプリの開発や、既存アプリの期限のある対応については、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

