はじめに
- Shopifyの制作会社を3社ほど比較しているが、決め手がない
- 見積書を並べても、金額以外に何を見ればいいのかわからない
- 「Shopify Partner認定」と書いてあるが、それで安心していいのか判断できない
- 公開後に追加費用でもめた話を聞いて、契約前に確認しておきたい
このような方のための記事です。
この記事では、Shopify制作会社の選び方を「見積書の読み方」に絞って解説します。実績の見方や担当者との相性を書いた記事は多いのですが、実際に差が出るのは見積書です。200件以上の見積もりを出し、元請けの下で作る側にも回ってきた経験から、見積書のどこを見れば会社の中身が分かるかを7項目にまとめます。
費用の相場そのものはShopify構築の費用相場にまとめているので、金額感を先に知りたい方はそちらからどうぞ。
制作会社の差は見積書に出る
会社紹介や実績ページは、どこも似た見え方になります。差が出るのは見積書です。相手が自分の仕事をどう分解しているかが、そのまま書いてあります。
見積書の内訳は、その会社が普段どういう単位で仕事を管理しているかを映します。作業を分解できない会社は、進行中も分解できません。「一式」でしか出せない会社に、途中の変更を正確に見積もる力はないと考えてください。
見積もりで確認すべき7項目
1. 内訳が作業単位で出ているか
「Shopify構築一式 80万円」では判断できません。要件整理・デザイン・テーマ構築・ページ制作・商品登録・各種設定・テスト・進行管理のように作業で分かれ、それぞれに工数か単価が付いているかを見ます。Shopifyの公式ガイドも、見積書の費目として企画・設計・デザイン・実装・環境構築・テスト・進行管理・運用保守・教育を挙げています。
自分の見積もりは人日×単価で出しています。人日が見えると「この作業は自社でやるので外してほしい」という調整ができます。一式だと、削っても金額が下がらないことがよくあります。
2. 前提条件と「含まれないもの」が書いてあるか
金額より後から効くのがここです。商品登録の点数、ページ数、写真と原稿は誰が用意するか、修正は何回まで、テストの範囲。この前提が書いていない見積書は、書いてある金額で終わりません。
見積書の欄外に「本見積もりに含まれない作業」が列挙されていれば、その会社は追加費用のトラブルを経験して直してきた会社です。書いていないなら、契約前に文章で出してもらってください。
3. テーマ・アプリ・Shopifyの費用が別立てで、名義がストアオーナーになっているか
有料テーマは買い切りで3〜5万円、アプリは月額、Shopify本体はプラン料金。制作費とは性質が違うので、別立てになっているのが正しい見積書です。
名義も見てください。テーマもアプリもShopifyのプランも、ストアオーナーのアカウントで契約するのが基本です。制作会社の名義で契約すると、解約や乗り換えのときに手続きが止まります。実際の案件でも、テーマは発注側に直接購入してもらう形にしています。制作会社が立て替えると代行手数料が乗ることがあるからです。
4. 公開後1年の費用が見えるか
構築費の見積書には、公開後の費用がほとんど書かれていません。ただ、支払いは公開後のほうが長く続きます。
- 保守の月額と、そこに含まれる作業時間の上限
- 上限を超えた作業や、保守に含まれない修正の単価
- 導入するアプリの月額合計
ECサイトの保守費用は、小規模なら月額数千円〜数万円、中規模なら月額数万円〜十数万円が目安とされています。
自分の場合は「月額3万円で月7時間まで」のように、金額と時間を組みで提示しています。時間の上限が無い保守は、何が含まれるかを相手が決めることになります。構築費と保守1年分とアプリ月額12か月分を足した金額で、会社を比べてください。
5. 変更が出たときのルールが書いてあるか
構築中に要件は必ず動きます。動いたときに、どこからが追加費用で、誰がどう判断するかが決まっていないと、そこでもめます。海外のエージェンシー選びの記事でも、予算が崩れるのはほぼスコープ変更のときだと指摘されています。
自分の運用は、ワイヤーフレームの段階では修正回数の上限を設けず、構築に入ったら範囲内の修正は公開まで追加費用なし、範囲外は別途見積もり、としています。ルールの中身は会社ごとに違っていいのですが、書いていないのは困ります。
6. 納品物と権利が明記されているか
公開して終わりではなく、その後に別の会社へ引き継ぐことも、自社で触ることもあります。そのときに必要なのが次の4つです。
- テーマのコードとリポジトリ。GitHubで管理している場合は誰のアカウントにあり、移管できるか
- デザインデータ。FigmaやXDのファイル
- Shopifyストアの所有者権限
- 各アプリ・外部サービスのログイン情報
見積書か契約書に「納品物」の欄があり、この4つが発注側のものになると書いてあれば安心です。制作会社にしか触れないストアは、次の会社への相見積もりが取れなくなります。
7. 誰が作り、誰が窓口になるか
Shopify Partnerの認定ランクは、Registered・Select・Plus・Premier・Platinumの5段階です。Plus以上に上がる条件はShopifyへの売上貢献などの商業実績で、制作の品質そのものを審査するものではありません。ランクは営業力の指標として読んでください。
外部記事help.shopify.com/en/partners/partner-program/abouthelp.shopify.com
それより効くのが、実際に手を動かす人と窓口を確認することです。制作会社の案件は、元請けから下請けのフリーランスに流れる形が珍しくありません。自分もその位置で作ることがあります。それ自体は問題ではないのですが、見積もりの金額には商流の段数分のマージンが入り、質問への回答は1段ずつ遅れます。「実装は誰がしますか」「打ち合わせに出るのは作る人ですか」の2つを聞けば分かります。
相見積もりの取り方
同じ条件で3〜5社に依頼するのが公式ガイドの推奨です。自治体の補助金を使う場合は、50万円以上の発注に相見積もりが必須になっていることがあるので、募集要項を先に確認してください。
依頼時に渡すものは次の6つで足ります。
- 売る商品と点数。移行元があればそのカート名
- 必須の機能。定期購入・会員ランク・予約販売・基幹連携など
- 参考にしたいサイト2〜3件
- 予算の上限と、公開したい時期
- 公開後に社内で誰が運用するか
- 補助金を使うかどうか
これを最初に出すと、各社の見積もりが同じ前提で並びます。渡す情報が少ないと各社が別々の前提で見積もるので、比較になりません。
さいごに
見積書は金額を見る書類ではなく、その会社が仕事をどう分解しているかを見る書類です。7項目のうち、内訳・前提条件・変更ルールの3つが書けていない会社は、金額が安くても後から高くつきます。
自分の見積もりは作業単位で出し、公開後の費用も最初に提示しています。料金はサービスページに公開しているので、比較の1社に加えてもらえれば幸いです。
見積書を見て判断に迷っている方は、お問い合わせから送っていただければ、その見積書のどこを確認すべきかを回答します。


