はじめに
- カラーミーショップやBASE、futureshop、ebisumartからShopifyへの乗り換えを検討している
- 商品はともかく、会員・注文履歴・ポイント・レビューが移せるのか不安
- 移行の費用と期間の目安が知りたい
- 移行のあいだ、今のサイトを止めたくない
このような方のための記事です。
この記事では、他カートからShopifyへ移行するときに発注側が知っておくべきことを5つに絞って解説します。会員4.7万件・商品4万件の基幹連携つきリプレースと、会員1.7万件・商品2,500件のアパレルストアの移行を担当している経験から、移せるものと移せないもの、費用、期間、旧サイトを止めるかどうかを、実際の数字で書きます。
構築費そのものの相場はShopify構築の費用相場、制作会社の見極め方はShopify制作会社の選び方にまとめているので、あわせてご覧ください。
1. 移せるデータと移せないデータ
Shopifyが公式に移行対象として挙げているのは、商品・顧客・注文履歴・ギフトカード・ブログ・ページです。方法は、コピー&ペースト、CSV、移行アプリ、パートナーへの依頼、APIの5段階で、複雑なものほど後ろの方法になります。
外部記事help.shopify.com/ja/manual/migrating-to-shopifyhelp.shopify.com
実務で聞かれる順に、移せるかどうかをまとめます。
| データ | 移せるか | 実務での扱い |
|---|---|---|
| 商品・画像・価格 | 移せる | CSVで投入。税抜価格の店は税込に換算して入れる |
| 会員(氏名・住所・メール) | 移せる | CSVで投入。上限15MB、メールが重複すると最後の1件しか残らない |
| 会員のパスワード | 移せない | 暗号化されていてShopifyの外に出せない |
| 注文履歴 | 移せる | CSVでは入らないのでAPIで登録。対象期間を決める |
| ポイント残高 | アプリ次第 | ポイントアプリのCSV取り込みで入れる |
| レビュー | 一部 | 本文と評価は入る。画像と「購入者認証」の表示は引き継げない |
| お気に入り | アプリ次第 | アプリのベンダーに取り込みを依頼する。有料のことが多い |
| メルマガ購読者 | 条件つき | 会員に紐づく購読情報だけ。会員登録のない購読者は移せない |
| ブログ記事 | 移せる | 本文はHTMLで入る。画像は貼り直し |
| クレジットカード情報 | 移せない | 決済代行側の情報なので、再登録してもらう |
外部記事help.shopify.com/ja/manual/customers/import-export-customershelp.shopify.com
パスワードが移せないのは、どのカートから移っても同じです。ただし2026年時点のShopifyはメールアドレスに届く認証コードでログインする方式なので、お客様は旧サイトと同じメールアドレスで初回からログインできます。パスワードの再設定案内を全会員に送る、という手間はもう要りません。
判断が要るのは、注文履歴の期間と、レビューです。注文履歴は全件入れるとお客様のマイページに過去の注文が並んで便利ですが、10万件を超えると投入に日単位の時間がかかります。件数を見て「直近2年分」のように区切ってください。レビューは本文と星は移せても、投稿画像と購入者バッジが消えます。約350件のレビューがある案件では、それを承知のうえで移す判断になりました。
会員1.7万件の案件で見落としやすかったのがメルマガ購読者です。旧カートでは会員とは別のテーブルにメールアドレスだけで持っていたので、会員登録をしていない購読者は移せず、旧サイトの閉店案内ページで再登録をお願いする形にしました。
2. 移行にかかる費用
移行費用は「データの種類の数」で決まります。商品だけならCSVの変換で済むので数万円、会員と注文履歴が加わるとAPIでの登録とテストが要るので20〜40万円、ポイント・レビュー・お気に入りのようにアプリ側へ入れるものが増えるほど上がります。基幹システムとの連携がある場合は、この外に連携の設計費が乗ります。
海外の相場では、他カートからの移行は1.5〜6万ドルとされています。日本のフリーランスや小規模な会社に頼む場合はその3〜5割減が目安です。
自分の見積もりでは、商品2,500件・会員1.7万件・ポイント1.2万件・レビュー850件の移行に、変換スクリプトの作成と検証で36時間を見込みました。テーマ構築を含むフェーズ全体の工数が約290時間なので、移行はその1割強です。会員4.7万件の案件では、移行の本番作業は発注側の担当部門が行い、当方はマッピング資料と移行方針書の作成、検証のサポートに回っています。誰が手を動かすかで金額は大きく変わるので、見積もりでは「抽出・変換・投入・検証」のどこまでを制作会社がやるのかを確認してください。
費用が跳ねるのは、旧カートのデータが汚れているときです。商品コードが途中で変わっている、同じメールアドレスの会員が複数いる、カテゴリの階層が壊れている。この掃除は見積もりに入っていないことが多いので、旧カートのCSVを一度出して、制作会社に見てもらってから金額を確定させるのが安全です。
3. 期間と、旧サイトを止めるかどうか
移行だけの期間は、データ量よりも「検証にどれだけ時間を取るか」で決まります。テーマ構築を含めた全体では、中規模で2〜3か月、基幹連携があると要件定義から公開まで8〜9か月です。
旧サイトをどうするかは2通りあります。
止めない方式。 先に全件を移し、公開日までの差分だけを後から足します。会員とポイントはメールアドレス単位で上書きでき、注文も追加分だけ入れられるので成立します。アパレルの案件では、9月中旬に全件移行して2週間テストし、公開直前に差分を投入してドメインを切り替える計画にしました。失敗しても旧サイトは動いているので、切り替えを延ばすだけで済みます。
閉店期間を作る方式。 公開の1〜2週間前に旧サイトを閉じ、その間に移行します。差分の管理が要らないぶん確実で、会員4.7万件の案件はこちらを選びました。閉店中の売上は止まりますが、大規模なほど差分の追いかけが複雑になるので、規模が大きい店ほどこの方式が向いています。
どちらでも、ドメインの切り替えは1週間前から準備が要ります。Shopifyの公式ガイドでも、お客様への告知とドメイン設定は事前に済ませることを勧めています。
4. URLとSEOを引き継ぐ
旧サイトの商品ページに検索やリンクから来ている人がいる以上、URLの引き継ぎは必須です。Shopifyでは商品URLが /products/ハンドル の形に固定されるので、旧URLから新URLへの301リダイレクトを1件ずつ設定します。
設計で決めるのはハンドルの付け方です。商品コードやJANコードをそのままハンドルにすると、旧URLとの対応表が機械的に作れます。会員4.7万件の案件では、商品ページ約1.1万件とカテゴリ約400件の旧URLをこの方式で対応づけました。日本語の商品名をハンドルにするとURLが長くなり、対応表も手作業になるので避けてください。
注意点が1つあります。Shopifyのリダイレクトは、クエリパラメータ付きのURLには完全一致でしか効きません。旧サイトが ?category=12&page=3 のようなURLで動いている場合、パラメータのパターンごとに設定が要り、漏れると404になります。旧サイトのアクセスログから、実際に流入のあるURLを先に洗い出してください。
5. 発注側が用意するもの
移行が遅れる原因の大半は、制作会社の作業ではなく発注側のデータ待ちです。次の5つを最初に揃えると、見積もりも工程も正確になります。
- 旧カートから出せる全CSVのサンプル。商品・会員・注文・ポイント・レビューをそれぞれ数十件
- 各データの件数。商品は本登録と仮登録を分けて
- 注文履歴を何年分移すか
- ポイント・レビュー・お気に入りを移すかどうか。移すなら旧サイトでの件数
- 旧サイトを止められる期間があるか。あるなら何日まで
3と4は「全部」と答えると費用が上がります。マイページから過去の注文を見るお客様は実際には少ないので、期間を区切る判断をしてください。
さいごに
他カートからShopifyへの移行は、商品・会員・注文履歴は移せて、パスワードとカード情報は移せません。費用はデータの種類の数で決まり、期間は検証の長さで決まります。旧サイトを止めるかどうかは、規模で選んでください。
自分のところでは、移行を含むストア構築を50万円から作業単位の見積もりで出しています。料金はサービスページ、実際の構築例は制作実績からご覧ください。
「うちのカートからだと何が移せるのか」を知りたい方は、お問い合わせからカート名と件数を送ってください。移せるもの・移せないものと、おおよその費用を回答します。
